ベートーヴェンは「第1番ト長調」と「第2番ヘ長調」の <br />2曲のロマンスを残していますが、そのどちらもがいつもの激しいベートーヴェンとは違う、強奏、強打のまったくない優しく穏やかな音楽です。 <br />作曲順では「第2番」の方が先で、旋律の際立った美しさからも <br />一般には「第2番」の方がより広く親しまれています。 <br />どこかヴァイオリンソナタ「春」の第1楽章、第1主題を思い起こさせますが、「ロマンス第1番」はヴァイオリン協奏曲の第2楽章と似た雰囲気があります。 <br />ベートーヴェンはこうした流れるような旋律を、好んでヴァイオリン曲に用いました。 <br />ロマンスの2曲はどちらも小規模のオーケストラ編成で、 <br />フルートやホルンといった音色のやわらかい楽器を前面に出しています。
